第六話

第六話〜坂本学園高校卒業研修2〜

 国立科学博物館の見学を終えた松田達は、「国際巨大生物研究所」へと向かって行った。
国際巨大生物研究所とは、1954年のゴジラ出現以降、日本を中心とした世界中に出現した巨大生物を調査・研究する機関である。
 新宿にその施設はあり、研究所内は一般人も見学可能である。所内には世界中の巨大生物の関係資料が存在している。
資料は、出現記録、生態等のデータだけではなく、伝承・伝説など多岐に渡り調査している。
 研究所入り口には既に、坂本学園の高校生が大勢いた。
藤山「松田さんよぉ、人結構いるぜ?大丈夫なん?」
松田「ん…まぁ、大丈夫でしょう。何で俺達は先に上野言ったと思う?」
片川「近いからじゃないの?こっちより上野の方がさ」
松田「バッカだなぁそれだけの理由じゃないよ。先に上野言っておけばこっちについてから多少はゆっくり出来るじゃん
    もぅ、半分くらいのウチの生徒はココを出たでしょ♪俺だってココ初めてだから、ゆっくり観たいしね♪」
久野「へぇ、松田君ココ初めて何だ?もう何回も来てるのかと思った。」
小口「私もぉ、てっきり来てるものだと思ってたぁ♪」
松田「実は、まだ来てなかったんだよねぇ。だからゆっくり見られるようにちょっと遅れてココに来たんだよ♪」
 松田は嬉々とした表情でそう言った。
山口「ねぇ、松田君、早く入ろう!私にこの中のこと、沢山説明して!」
 山口はそう言って松田の手を取り、巨大生物研究所の中へと入っていった。
引っ張られている松田は、顔を真っ赤にして
松田「お、おい!ちょっと待ってくれよ!藤山たちがまだだよ!って聞いて無いな…おぉい!お前らはそれぞれで入ってくれ!俺よか山口の方が燃えてる!
    ひ、引っ張るな!引っ張るな…」
 松田は、困惑しながらも顔の筋肉が緩みまくっていた。
藤山「まぁったく、松田さんもしょうがないねぇ…女ッ気が無いんだから…なぁ?片川よ?」
片川「まったくだぁなぁ♪んじゃ、小口、行きますか♪」
小口「そうね♪亜紀も一緒に行こ!ちょうど良いダブルデートじゃない?」
久野「そうだね♪涼子達も、あの調子だったら、私たちがサポートしなくてもよさそうだしね♪」
藤山「え?久野たちは山口のサポートに来てたの?実は俺らも松田さんのサポートに来てたんだよ…なんだよ…両想いじゃんかよ…」
片川「だったら、もぅ、サポートすることってなくねぇ?」
藤山「そぉだよなぁ…って、それさっき久野が言ってたって。まぁ、いいかんじゃ、俺らは俺らで行きますか♪」
久野「うん。ねぇ、早く行こう♪」
 久野はそういって藤山の腕を掴んだ。
片川「なぁ、藤ぃ?」
藤山「みぃ、何だよ?」
片川「松田さんは俺たちが実は付き合ってるって知ってるのかな?」
 片川が恐る恐る持ちかけたこの話に、藤山は思わず凍りついてしまった。
実は、何も話していないのである。
藤山「え、えぇと…ま、多分大丈夫だと思う…ハハハハ、ハハハハハ…」
片川「と、と、とりあえず入ろうか…」
 このとき、二人は心底「どうして松田さんに怒らせず殴られずに打ち明けようか…」と脳味噌をフル回転させて考えていたのであろう。
久野や小口が話しかけても殆ど反応しないで下を向いて歩いていたのである。
 その頃松田たちは「世界の巨大生物の生息」と言うコーナーにいた。
そこには、巨大な世界地図が置かれていた。
山口「ねえ、これは何?世界地図なのは分かるけど…」
松田「これは…世界で出現した巨大生物の発見地とその名前だね」
 松田の言うとおり、世界地図に置かれた無数の赤い点の横には、巨大生物の名前が書かれていた。
山口「へぇ〜こんなに沢山いるんだ…マンダ、バラン、バラゴン、ラドン…」
松田「でも…これ全部実在してるわけじゃないんだな」
山口「どういうこと?」
松田「伝説として残っているとか言うのもあるだけさ。八岐大蛇、中東の光の巨人とかさ」
山口「それでも、実際に出現しているのはかなりいるんだねぇ…怖いなぁ」
松田「確かに怖いねぇ…はっきりと倒されたとか言う証拠とか無いし。でも、この十何年かは殆ど出てきてないから大丈夫じゃない?出てきてもジラくらいだし」
山口「そっか…ジラがいたねぇ…でもあれはミサイルでやられちゃったんでしょ?」
松田「まぁね…まっ、所詮マグロばっか食ってるようなヤツだし♪解剖結果だってただの巨大爬虫類としか結果が出てないから♪
  でも…今年の始めに出てきたヤツの行方がつかめないってのは怖いね…ひょっとしてこっちに来たりして?」
山口「やだぁ!そんな怖い冗談やめてよ!」
松田「ハハハッ、ごめんごめん。おっと、そろそろ行かないと間に合わないか…藤山たちはまだ来てないのか?おっそいなぁ…」
山口「何言ってるの?もうとっくに行っちゃったよ?」
松田「ウッソ…やっべぇ!早く行かなきゃ!!」
 と、松田たちが巨大生物研究所で見学していた時、茨城県犬吠崎沖約250km付近を飛行中だった99式対潜哨戒機が妙なモノを発見していた。
乗組員A「オイ、2時の方向の海面、あれは何だ?」
乗組員B「ん?何だ?あれは?」
 乗組員が見た先には、まるで鮫の背ビレを逆に向けたのような青い突起物が2列、猛スピードで進んでいるのであった。
そして、その後ろからは、青白い光のラインが突起物に向かって進み、そのラインに沿って海水が爆発・蒸発し、水蒸気の煙が噴きあがっていた。
光のラインは、放たれるたびに、青い突起物に照準を合わせているかのようであり、突起物もまた、その光を必死に避けている様だった。
 と、その青い突起物が、急に向きを変え、光が放たれる元の位置へと向かっていった。
向きを変えた直後、何発目かの発行が起き、その突起物へと向かっていった。その時、突起物が、水中から完全に現れ、またその全身も空中に現れていた。
その姿は、数ヶ月前にアメリカに出現したジラそのものであった。ジラは、光の元へと飛び込んで行った。
その直後、海水が爆発したかのように、波飛沫が吹き上がり、波が収まる頃にはジラの背鰭であった青い突起物も青白い光も無くなっていた。
乗組員B「ありゃあ一体何だったんだ…?」
乗組員A「馬鹿!呆然としてる場合か!?本部に連絡だ!!」
乗組員B「あ、あぁ…」
 乗組員は、多摩にある東部航空方面隊本部に連絡を入れた。
「犬吠崎沖ニテ『ジラ』ト思ワレル巨大生物ガ本土ニ進行中」と。

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