第四話

第四話〜坂本学園高校卒業研修出発〜

 2004年2月9日、この日は、坂本学園高校の卒業研修当日である。坂本学園高校の卒業生達は、各自で集まっており、出発している班も少なくない。
その中に、松田たちの班がいた。
松田「あぁ〜あ、まったく、俺だけかい!時間前に来てるのは…。」
  松田は自分の班のほかのメンバーが来ていない事に腹を立てているようである。
松田「何でこう5分前に来れないのかねぇ…集まって出発してる班もあるってぇのに…やっぱ、8時集合じゃなくてもう少し集合時間早くしたほうが良かったか」
藤山「すまん!遅れた!」
松田「遅い!こっちは何分待ってると思うんだ!?8時集合だろうが!もう57分だぞ!」
片川「ごめんごめん、松田さん、ほら、他のみんなも一緒だから。」
山口・久野・小口「ごめぇ〜ん、遅れちゃった♪。」
松田「ごめんで済むか!?もう8時じゃないか!これから5分の電車に乗るんだぞ!?」
松田以外「だから、ごめんって言ってるじゃん。しかも後5分あるんだよ?間に合うって。」
松田「こんなこったろうとは思ったよ・・・・ちょっと改札口見てみ。」
松田以外へ?
  そこには、卒業研修へと向かう坂本学園の生徒達の長蛇の列があった。
松田「だから言ったろうに!早く集まれって!昨日皆に電話した俺が馬鹿みたいじゃないか!あぁ〜あ、こりゃ間に合わんぞ。
    だから班長なんてやりたくなかったのに・・・いちいち怒らなきゃいけないからぁ!」
松田以外「はい、すいませんでした・・・・・。」
松田「まぁ、しょうがないか・・・・・次のに乗ろうか。次の電車で行ってもとりあえずは間に合うし。」
山口「そだね♪んじゃ、行こうか。」
松田「おぅし!じゃあ行くぞ!まずは上野だ!んじゃ、レッツゴー!」
山口「ねぇ、藤山君、松田君、何か燃えてない?」
藤山「そりゃあそうだろう、山口だって知ってるだろ?松田さん、動物とか好きなんだから。」
山口「動物好きなのは知ってるけど、巨大生物ってあんな怖いの好きだったの?」
片川「アイツの最近の一番の興味は巨大生物なんかだよ。家に行ったら、そんな本ばっかりあったよ。」
藤山「健全じゃないよなぁ。アイドルの写真なんか一枚も無いんだぜ。」
久野「えぇ、そうなの!?」
小口「ひょっとして、松田君って、マニア?」
片川「まぁ、簡単に言うとね。そうなるかな。」
松田「おぉい、何やってんだ?また遅れるぞ。」
藤山「あぁ、ごめん、今行くよ。」
  東京へと向かう蒸気機関車の中で、松田たちが談笑していた。
松田「いやぁ、座れてよかったなぁ。でも、ホントに俺だけ座っちゃっていいのか?お前ら立たせちゃって。」
  松田たちが座っているのは四人がけの席で、片川と藤山は松田たちを座らせ、自分達は席の脇で立っていた。
片川「何言ってんだよ。別に大丈夫だって。」
藤山「そうだよ。気にする事ないって。」
松田「いや、やっぱり俺が立つわ。」
  そう言って松田が席を立った。それを見た二人は慌てて松田を座らせた。
藤山「やっぱり、松田と山口を隣同士に座らせないと、面白くないモンなぁ、片川?」
片川「そうだよなぁ、この二人を無理やり引っ付けて同じ班にしたのは、ある意味これが目的だもんなぁ。」
藤山&片川「クックックックックッ…」
松田「ん?どうした?二人とも後ろなんか向いちゃって。それより、ホントに大丈夫か?立たせちゃって」
藤山「あぁ、大丈夫だって。それより、さっきの改札の松田さん、なんか親父みたいだったなぁ。なぁ、久野?」
久野「そうね。お父さんみたいだった。」
松田「そうか・・・・親父みたいか・・・・・・・」
  そういった松田の顔は暗かった。
藤山「あ、あ、あのさぁ、気ぃ悪くしたならごめん。謝るよ。」
小口「そうだよ、松田君。藤山君だって亜紀ちゃんだって悪気があったわけじゃないんだし。」
松田「い、いや、別に気を悪くしたわけじゃなくて、ちょっと昨日、親父と喧嘩したんだよ。それ思い出しちゃってさ・・・・」
片川「松田さんの親父さんと?確か松田さんの親父さんって、地方軍の人でしょ?」
松田「あぁ・・・・そうだよ。」
松田は、浮かない顔で昨日の出来事を思い出していた。

松田「いやぁ〜、明日は研修だよ。初めてだよ。国立特殊生物研究所に行くの。」
 松田は、気分最高潮と言う様な顔で母親・耀子(ようこ)に話しかけていた。
耀子「ふふふっ、よかったわね。あなたは好きだものね。」
  「ふんっ!何が面白いんだか、俺らの敵じゃないか。あんな奴等の事を調べて楽しんでるなんて、ふざけてるんじゃないか?」
 不機嫌を露わにした様な顔で、父忠文(ただふみ)である。
忠文は、地方軍で、大佐の地位であり、歩兵連隊長の任に就いている。そのせいもあってか、巨大生物の事を嬉々として話す息子が気に食わないのだ。
忠文「いいか?竜明、今、巨大生物の被害は世界規模になってるんだぞ。この間だって巴里で怪植物が出たって話があったばかりじゃないか!
    その被害者の気持ちが分からないのか?」
竜明「分かってるよ!だから、その巨大生物自体の事を調べれば、どうやって倒せるかだって分かるだろ!」竜明は反論した。
忠文「そんなこたぁ、分かってるよ!俺が言ってるのはそんなことじゃない!何でそんなに嬉しそうに語れるんだ!まったく…お、酒が無くなったな…
    おい竜明ぃ、ちょっと酒持って来てくれや」
竜明「何で今まで言い争ってた俺なんだよ!そんなことぐらい自分でやれよ!自分で飲む分だろ!いっつもそうじゃないか!
    飲み出すと、そこから動かなくなるんだから!」
忠文「何だよ!俺は毎日外で働いて、お前らの食べる分稼いでやってるんだぞ!これぐらいやらして何が悪い!」
竜明「それが何だよ!働いて、金稼げば、家で家族に迷惑掛けてもいいのかよ!?」
忠文「あぁ、そうかよ!そんなに俺が嫌か!だったらもう喋らないよ!もう寝る!」
 忠文はそう怒鳴り散らして、自分の寝室へと向かっていった。

久野「そう、そんなことがあったの・・・・・・。」
松田「まぁ、親父も一晩寝たら、すっかり忘れてたけどね。まったく、ちったあ覚えてろよ・・・・・・」
片川「え?もう親父さんの機嫌はいいの?」
松田「勿論!あの人は一晩前の出来事を覚えてないんだから。」
山口「え?でも覚えてないほうがよくない?後に引きずらないんだから…」
松田「まぁ、そうなんだけどねぇ・・・・でも、体験したら、少しは覚えてろよ、って思うよ、確実に。」
藤山「あ、そういえば、松田さん、最初に上野の科学博物館に行くんだよね?その後は?」
松田「忘れるなよ、まったく・・・・・・科博の後に、次は国際巨大生物資料館だろうに。二つしかないんだから、覚えとけよぉ。」
藤山「あぁ、そうか、すっかり忘れてたぜ。松田さん、あんがとね!」
 そんな他愛もない会話をしているうちに、もう上野駅まで汽車が着いた。
松田「お、もう上野かぁ。早いなぁ。ついつい話し込んじゃったなぁ。んじゃまぁ、降りますか。さぁて、まずは科博だぁ。言っとくけど、俺の解説、完璧よ?」
小口「うわ、スッゴイ自信だね。ホントにだいじょぶ?」
久野「まぁ、そこまで自信持ってるなら、私たちも質問のしがいがあるってもんよね♪」
山口「そうね。じゃあ松田君を今日は質問攻めにしちゃいましょう!藤山君と片川君は?」
藤山&片川「何言ってるんだよ。参加するに決まってるだろ?そこまでの自信、崩してやろうじゃないか!」
松田「うわ・・・・・みんなひでぇ・・・・・・・手加減無しかよ・・・・・・・そこまでだと、オレの自信も薄れてきたなぁ・・・・・・」
山口「何言ってるのよ、松田君、皆そんなに詳しくないから、簡単な質問ばっかりだから、大丈夫だよ?きっと。」
松田「いや・・・・知らないから、質問数が多そうで怖いんだよ・・・・・・」
山口「あ・・・・そうかもね・・・・・・でもきっと、松田君だから、大丈夫だよ。」
松田「そうかなぁ・・・・ま、頑張ってみるか!よし、その質問攻め、受けて立とうではないか!では、決戦場所へ行くぞ!」
松田以外望む所だ!
 松田達の班は、いきなり盛り上がりだし、上野駅を出た。

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